うつつのよすが



 ぽすん、と。

ソレは考え事をしながら歩いていたジュードの目の前に落ちてきて。
「え? ええ? 花束??」
「お、次の花嫁はジュードくんって事か」
 一緒にいたアルヴィンがからかう様な声をかけつつ、横手で行われていた結婚式の様子を窺っている。
 ブーケトスをした花嫁は想定外の人物の元に届いてしまったブーケに戸惑っていたようだが、アルヴィンが笑顔で軽く会釈をすると、嬉しそうに新婦と会釈を返しつつ再び教会の中へと戻っていった。

「・・・・・・うわきもの・・・・・・」
 ぼそっと呟くジュードの声がツンドラ気候気味なのにアルヴィンは内心で大慌てになりつつも、「ちっげーよ!」と速攻で反論を返す。
「あの子、あの距離でお前の事男だって気づいて戸惑ってたから、逆に有難うってつもりで会釈しただけだっての! 俺はジュード以外興味ないしジュード以外見たって勃たな・・・・・・」
「うわああああ! 分かった! 誤解してたからそれ以上はやめて!!」
「まあ、でも・・・結婚式とかいいよなあ。あー、俺もジュードくんと式挙げたいわ」
「そ、そう・・・・・・」
 今度は、心なしか沈んだ声になったジュードが気にはなるが、アルヴィンとしてはここでこの子供に隠し事はしたくないのでそのまま言葉を続ける。
「俺だけなら別にやらなくてもいいんだけどさあ、ジュードと一緒なら色々な人に祝福されつつ愛の誓い? とかしたいのよ、俺」
「・・・・・・・・・」
「でもなー、一応エレンピオスでは公には同棲婚って認められてなくてな。・・・・・・だとすると、どっちかが新婦になってウエディングドレスとか着なきゃならねーんだけど・・・・・・」
 はぁ、とここで一息。
「いくらジュードくんだって、30間近の男のドレス姿なんて見たくないだろ?」
「・・・・・・・・・え?」
「? いや・・・だから、ジュードだって俺のドレス姿なんて気味の悪いもの見たくないだろ?」
「ドレス・・・・・・着るの・・・・・・僕じゃないんだ・・・・・・?」
「へ? 俺別にジュードに女の子になって欲しいワケじゃないし。ジュードのタキシード姿見たいし。だったら俺が着るしかないんだよなぁ・・・・・・ドレス」


 はあ、と心底残念そうに呟くアルヴィンの姿に、ジュードは笑おうとして――――失敗した。


「うぇ! ええっ!! じゅ、ジュード!? どうした、どこか痛いのか?」
「ち・・・違・・・・・・ごめ・・・・・・なんか・・・・・・」
 それ以上の言葉は嗚咽にまぎれてしまって上手くはきだせない。
アルヴィンはあわあわしつつも、ゆるくジュードを抱きしめるが、その腕の、身体の温かさに益々涙が止まらなくなる。


「あのな、俺はこうして一緒にいられるだけで満たされてるから。だから・・・笑ってくれよジュード」






1/31は愛妻の日だったそうで。遅刻しまくりですが、以前ついったでアルジュ結婚感てどんなだろ?って思った私なりの結論です。
2014/02up