Biter bit



「ジョッシュ、一度機体から降りて休め」
「いいです」
「リムが心配してるぞ」
「…っ。あいつには大丈夫だと伝えてください」
「……お前がそこに居たからって親父さんが戻ってくる訳じゃないぞ」
「……分かってます。でも…追っ手が無くなったら南極に戻らないといけない…」
「そうさせない為に、俺がお前を引きずり出しにきたんだよ!!」
 我慢の限界を迎えたヒューゴは、ジョッシュを無理やりコックピットから引きずり出した。
まる1日近く戦い続けてきて、疲れ果てた少年の身体はいとも簡単にヒューゴの腕に収まる。
「疲労困ぱいした身体で、単身敵だらけの南極に戻るなんて自殺行為だろうが」
「それでも! あんなろくでもない親父でも、リムの父親なんだよ! リムが悲しむから、俺が助けにいかなくちゃならないんだよ! …だから離せ」
「…馬鹿が。それ聞いたら益々離せるかよ。いいから少し休め」
「嫌だ!」
「ジョッシュ!!」
 発作が起きてる時でなくて本当に助かったと、内心でそう安堵しながら、ヒューゴは暴れるジョッシュを両手で自分の腕の中に押さえつけ続ける。
暫く抵抗を続けていたジョッシュは、自分が抵抗を収めるまでヒューゴが引いてくれないのを悟り、渋々大人しくする事にした。
「仮に、お前が行って親父さんを助けだしても、お前が怪我したり、死んだりしたらリムは悲しむぞ」
「……」
「…嫌なんだよ。目の前で親しい人間が無理をして、死にに行くのを助ける事もできないのは」
「ヒューゴ、少尉?」
「今の俺だけじゃ、あの軍勢を相手にお前の手助けはできない。だから行くのを見過ごす事はできない」
「……」
「どんな親でも、自分の子供が死んで平気な訳がないんだ。お前の親父だってそうだよ」
 そう、アルベロ隊長だってそうだったのだ。ジョッシュの父親だって同じのはずだ。
少ししか様子は伺えなかったが、逃げろと言ったジョッシュの父親は間違いなく息子と娘の身を案じてるようにしか見えなかった。
自分の師と混同して、ジョッシュの父親に同情しているだけなのかも知れない。
そう頭の端で考えつつも、それ以上にジョッシュ自身にそんな無謀な事をさせたくなくて、自分の思いが伝わればいいと思いつつ、ぎゅっとジョッシュを抱きしめる腕に力を込めた。
「だから、頼むから、一人で行くなんて言わないでくれ」
「……ヒューゴ少尉」
 不意に名前を呼ばれて、ヒューゴは慌てて抱きしめている腕の力を弱めた。するりと腕の中から抜け出すぬくもりに少しだけ名残惜しさを感じつつヒューゴは返事を返す。
「なんだよ」
くすり、と、めったに表情を変えない少年が相好を崩しながら、今度はジョッシュがヒューゴの手を取る。再び触れた温もりは生きている人間のもので。
思わず漏れた、安堵の息にジョッシュは更にくしゃりとくすぐったそうに笑み崩れた。
「何だか俺、すごい告白された気分なんですけど、気のせいですかね?」
「は?」
唐突に何を言い出すのだろうか、この少年は。ジョッシュの言の内容に理解が及ばないまま、オウム返しにヒューゴは反応を返したが、
次に繰り出されたジョッシュの言葉に真っ赤になって逃げ出す事となる。


「ヒューゴ少尉は、ものすごい俺の事好いてくれてるんですね」





27話の2人が可愛すぎて勢いで、今日1日でやってしまいました(笑)ジョッシュ×ヒューゴ×ジョッシュっぽいかもしれないです。
ジョッシュ×ヒューゴ可愛いじゃないですかー!2次OGのオアシスですvv
2013/01up