左近と三成2



それは2人がまだ主従になって間もない、とある戦の後の話。


三成負傷の報を受けた左近は、戦後の処理を済ませた後に主の滞在する陣へと赴く。
内心気が気でない左近だが、当の主は左近を涼しい顔で迎え入れた。

 よく来たな、左近―――と。



「あのですねぇ、殿。此度の戦、左近は殿に後方にて後背への備えを。と、お願い申し上げていたかと思うのですが」
「言っていたな」
「ならばなぜこちらに殿が居られるのですが?」
「何を言っている、左近。おれが此方に直接出向いたからに決まっている」
 当然の事を聞くなと言わんばかりの三成の態度に、左近は眩暈がしそうになる。
左近が言いたいのは当然そのような事ではないのだが、三成には通じない。
「殿・・・左近が言いたかったのはですね・・・」
 どうにかして三成に理解してもらうべく、左近は言葉を続けようとした。
「・・・・・・もしかして左近は、そのまま俺に後方の押さえを。と、考えていたのか?」
「――――――は?」
 左近の言葉に覆いかぶさるように呟いた三成の言が、余りにも予想外で左近は間の抜けた返答しかできない。
「すまぬ。・・・おれは左近の軍略を台無しにするところであったのだな・・・」
 そう言って、三成は素直に左近に頭を下げてくる。主の素直な謝罪の言葉と反応に、左近は更に混乱する。

なんだこの人は? 平壊者と呼ばれていたのではなかったのか?

「左近?」
「はい、なんでしょうか?」
 混乱しながらも、かろうじて左近は平静な声を搾り出すことに成功する。
そんな左近をじっと見上げてくる三成の表情は、相変わらず涼しい顔をしている。
が、よくよく観察していると、緊張しているのか微かに手が震えていた。


「その・・・至らない主だが、これからも・・・頼りにしているのでよろしく頼めるか?」




 左近にとって、それは求めてやまない”何か”を初めて得た瞬間である








・・・多分3軸での話のはずですがあんま深く考えてないのでよくわかんないです。
殿は素直クールで!(ツンデレではなくて)ってのが理想なんですが
何だかただのあほの子になってしまい申し訳なく・・・;;
2010/07up