キョンと古泉



目の前には、見るもまぶしい白い色をした素敵な箱が鎮座していた。

・・・・・・・・・・・・ただし、箱の中身は既に空っぽである。

中身のあまりの空虚感に、俺はおもわず叫びを発せられずにはいられなかった。

「あ〜〜〜!! 何だよコレ!」
「見てわかんないの? ケーキに決まってるじゃない」

それはわかる。そんなのは、アホでもわかる。
だが・・・・・・だが!なぜその箱の中身は真っ白なんだ!?
可愛い三角型をした赤いアイツとか、ふわっふわでとろっとろな黄色いあいつとか、見た目はシックだが濃厚な香りと味が広がるアイツとかetcetc・・・・・・なぜ何も残ってないんだ!?

「な〜に言ってるのよ。さっさと部室に来ないアンタが悪いんでしょ? 当・然!アンタの分はないわよ!!」

俺の魂・・・・・・もとい、心の叫びを聞きとったかのようなハルヒの返答。
くぅぅぅぅ〜〜〜!!人生16年。この時ほど心底悔しい思いをした事は未だかつてない。
そんな事をしたのが谷口あたりだったら、問答無用ではったおしているが。
いかんせん相手はハルヒ。そんな事をした日には世界崩壊の危機だ。
そうは思いつつも、愚痴の1つでも出さなきゃ気が済まない。

「くそぉぉ〜・・・・・・ハルヒお前わざとだろ!? 俺が今日日直だって事知っててやっただろ!!」
「な・・・・・・アンタ・・・・・・そんな涙目になるくらいケーキ好きだったの??」
「好きなんだよ・・・・・・! あああ・・・・・・ケーキが・・・・・・」

「なら僕のを差し上げますよ」

そんな絶望真っ只中の俺に神の声が降り立った。
おおおおおお!古泉!!
いつもは回りくどくてめんどくさい奴とか思っていたが、今日という今日だけはお前がまるで天使のように見えるぞ!

「本当か!? 古泉っ!!」
「ええ勿論。・・・・・・食べかけで申しわけありませんが」
「いい! 何でもいい!食べられるならなんでもっ!!」
「そうですか。・・・・・・では、新しいフォークを・・・・・・」

新しいフォーク?
そんなものを待っていられるか。
我慢も限界に近づいていた俺は、手近にあったソレを引き寄せ待ちに待ち望んだケーキを一気に口に運んだ。

「あ・・・・・・・・・・・・!!」
「・・・・・・・・・・・・」
「きゃ・・・・・・・・・・・・!」

・・・・・・?何だ?
皆何故そんな複雑な顔だったり、嬉しそうだったり、真っ赤な顔をして俺を見るんだ??
おい、いつもなら冷静にツッコミ入れる古泉。お前もなんか言えよ。


そう文句をつけてやろうと、古泉を振り返ったら


俺に強引に引き寄せられた形になった姿勢のまま、顔を真っ赤にさせてフリーズしていた。












以前のサイトから。
古キョンよりキョン古にときめくのはマイナー思考なんですかねぇ・・・・・・?
古泉タイプみたいな子は受だととてもときめきます
2010/01up(初出 08/05)