アニキと殿と凄絶兄さん



 ぽす、と
ソレは唐突に俺の目の前に降って来た。
そう、文字通り降って来たのである。人間が。
しかも、あり得ない位に重みの無い身体。
現在うちに居候中の石田と対をはる位。いや、それ以上である。
「一体こりゃあどうなってやがる・・・」
「・・・ほう、また珍しい拾い物をしたな元親よ」
 べん、と蛇皮線の音と共に背後に現れたのは、異世界(本人曰く)の俺だ。
異世界の俺とは一体何の冗談かと頭を抱えたくなるが、どうやら本当らしい。
以前にも似たような事があったので、どうということは無いと本人はのたまっているが こっちは大事件なんだよ! と、大声で叫びたかったのだが、
なぜかうちの舎弟どもと石田までこの”元親”に懐いてしまったもんだからそこら辺は有耶無耶になってしまっている次第だ。
「珍しいって何だよチカ。・・・こいつアンタの知り合いか?」
「知り合い・・・まあ、その様なものだな。・・・俺の世界の石田三成だ」
「は・・・・・・あ!? 石田だとぉ!!?」
 まじまじと抱えた身体を見下ろしてみると、俺の声にだかチカの蛇皮線の音が五月蝿かったのか件の三成が目を覚まそうとしていた。

「兼続・・・左近・・・五月蝿いのだよ・・・」
 カネツグ?サコン??
見知らぬ(元親にとっては、だが)名前を呟く三成は、言葉に反して声音は大分優しいく聞こえる(と、元親は感じた)が、 親しい人間どころか、
見知らぬ人間に抱えられているなど、こちらの石田だったら刀を振り回して暴れるくらい屈辱だ! などと言うのは間違いないのでこの状況は非常にまずい。
まずいのだが、何故だかやたらと憔悴している風なのでそのまま地に下ろすのを躊躇っているうちに、三成は目を覚ましてしまった。

「よ、よぉ」
「誰だ、貴様は?」
「俺は長宗我部元親っつうんだけどよ」
「ちょうそかべ・・・?」
 まだ意識が朦朧としているのか、若干舌足らずな声で答える三成。

 ちょ、ちょっと、まて。
その顔で。妙にウチの所の毛利の野郎と似た顔で。
いつも蔑んだ表情しか見せないはずの毛利が毛利が、いやこれは石田だ俺落ち着け。


「や、やめろぉぉぉ!!!! その顔で、そんな声出さないでくれぇぇぇぇ!!!!」


 動揺の余り、元親は思い切り頭を抱えた。
いや、抱えようとした。
三成を腕に抱いたままで。

 もちろんそのまま吹っ飛ばされた三成は、海へと消えていったのである。


 それを傍から見ていたチカが、爆笑していたのは言うまでもない。





殿とおじいちゃんは系統的には顔の造り似てるかな?と思って。
そっくりだとは思ってませんが、ネタって事で勘弁して下さい
2011/04/30up